第7話・君の瞳に恋してる

昼休みの教室。智と和也が男子皆でワイ談していた時だった。お年頃の健康な男子達の話は自然に女の子の話題へ突入し、特にオープンスケベな横山くんがふと智に尋ねた。
「智ってさ、そういうのどーすんの?」
「どうするって?」
キョトンとする智。
「恋愛とかエッチとか」
途端に男子達はピクッと静まり一斉に智に注目する。
「うーん、人間と変わらないと思うけど・・・」
「他人事みたいに言うなよ」と、突っ込む男子達。
「だって智は和也で精一杯なんだもんなー♪」と、ふざけて言ったつもりの風間くんに「うん♪」と、頷く智。
和也が呆れて言った。
「やめろよ、変なふうに誤解されるじゃんかよ。俺、そっちの趣味ないからな」
「でも智は仮に和也が誘ってきたらOKなのか?」
「和也くんがいいなら僕は構わないよ?」
「・・・相葉ちゃんに智の改良も頼もうかな。どうにかしてよ、この思考回路」と、頭を押さえる和也。
すると智は笑いながら「分かってるよ、和也くん。例え話だよー」
「意味わかんねーよ」
「あ、俺は分かった☆」と、風間くん。
「智にとっておまえは、いざとなったらそれさえ抵抗もない程の存在で、大切だって事だよ、和也」と、和也の背中をバンバン叩く。
「風間くんの言う通り♪」
嬉しそうに風間くんに拍手する智。
「他の例えにしてくれよ。俺は嬉しくないんだけど」と、呆れっぱなしの和也。
「でも良かったわ。そーゆー事か。人造人間にもオカマがおるんかと思った☆」
脱力しながら横山くんが言った。その時。ガシャン!
「?」
男子達は一斉に後ろに振り返った。誰かの弁当箱(ドカベンサイズ)が床に落ちた。見ると、箸を手にしたままワナワナ震えている成子。
「そうなのね・・私がどう頑張っても逆立ちしても何を吹いても・・・二宮くんには勝てないのね」と、涙を浮かべる。
「・・・加藤さん?」
智は、心配そうに眉毛を下げて成子に歩み寄るが。
「来ないで!変態!」
クルッ、スタタタターッ・・・。成子は教室から走り出してしまった。智の『僕は構わないよ』が相当ショックだったのか、風間くんの素晴らしい解説も成子には聞こえてなかったらしい。咄嗟に和也が言った。
「智!追いかけろ!」
「えっ?」
「こういう時は追いかけるんだよ!早く!」
「はいっ!」
シュパタタターッ!
「・・もう、おまえらが変な事聞くからだぞ〜」
成子の落とした弁当箱を拾い上げて和也は言った。
「悪かったよ、和也。でもバイオニックってどうなんだろーと思ってさ☆」

成子の家・加藤道場。『たのもォーーーッ!』そんな昔懐かしい道場破りの挨拶が似合いそうな門構えの前に、智は立っていた。
「ゴメン下さーいッ」
ピンポンチャイムがないので大声で呼びかけると「玄関で謝ってるのは誰だ!」と、これも懐かしいコントのような返事と共にギィィィ・・と門が左右に開いた。
体格の良いお父さんが出てきて智に「キミは誰だ?名を名乗れ」
「大野智です」と、ペコリ。
「なるほど。キミが有名な喜多川博士の・・・。娘はキミに会いたくないそうだ」
「えっ!」
「学校から早退して来るなり、瓦割り千本してから寝込んでおる」
「寝込んでる?!そんなぁ」
ガ〜ン★智ショーック!
「大野くん、悪い事は言わない。娘に構わず、キミに相応の異性を見つけて青春を過ごしなさい。ご機嫌よう」
バタン!閉まる門。
「・・・」
溜め息を吐いて、智は思った。まさか和也以外の人間の事でこんな気持ちになるなんて。
「それが恋というものさ、智」
「あ、櫻井くん」
振り向くと、赤いスポーツカーにもたれて、切なげに風に吹かれている翔がいた。
「そんな門、おまえなら簡単にブチ破って入れるのに、堪えるなんて偉いぞ、智」
「櫻井くん・・・どうしよう。僕、人間の女の子を泣かせちゃった」
「“相応の異性”ね。相葉に女型のバイオニックでも造ってもらう?」
すると智は眉を下げて「ヤだよ、そんなの。僕、別に“女”が欲しいんじゃないもん」と、ショボン。
翔は笑って「冗談だよ。乗りなよ、智。足で走った方が速いだろうけどさ、話したい事があるし」
「?」

「智ィー、この変態バイオニックー♪」
夜。翔の車で帰宅した智に、和也がワザをかけながらふざけた。
「ふぅ・・僕は何ちゅー事を」
「あれ?『そこはダメ』って言わねーのな・・成子は?」
「会えなかった。てゆーか僕のせいで加藤さん寝込んじゃった」
「瓦割り過ぎなんだよ」
「瓦割ってもスッキリしなくて寝込んだとお父さんが言ってたけど」
「・・あっそ」
「でもね、櫻井くんに話したら『変態!なんて人間にしか言わない言葉だぞ』って」と笑う。
「ふーん、それはそうだ」
「うん。僕、人間になれるなんて思ってないけど、和也くんに一歩近付けた気がする」
「え?」
「人間の男の子に」
智にとって和也は何よりも大切だ。それは永久に変わらないけれど、それとは別のモノなのだ。一つの新発見である。
「もう僕のこと許してくれないかもしれないけど、加藤さんに会って伝えたい」

翌日の教室。成子は欠席だった。
「大野智はいるか?」
休み時間。成子の机をボンヤリ見ていた智は、教室のドアから現れた一人の美少年に呼び掛けられて振り向いた。
「はい、あなたは誰ですか?」
「智くん、あの人B組の鶴本直人くんよ」
潤子が言った。
「鶴本くん?」
硬派な雰囲気だけれど、澄んだ瞳の美しさは智に匹敵する。その瞳でまっすぐ智を睨むと、ツカツカと寄ってきて智のブレザーの襟をグイッ!と掴んだ。
「!」
一気に緊迫する教室の空気。
「成子をもてあそんだら許さないぞ!」
真剣な鶴本くん。
「もてあそんでない!和也くんの事は誤解だよ」
「そうだよ、鶴本」と、和也。
「二宮、おまえは手を出すな!」
ドカーン!鶴本くんにブッ飛ばされた智は教室の後ろの壁まで吹っ飛び、背中を打ちつけた。が、この場合ダメージを受けたのは当然だが壁の方で、智が当たると大きく減り込んでガラガラと破片が飛び散った。キャアーッ!大騒ぎの教室。
「やめろよ鶴本!校舎が崩れちまうってー★」
必死に鶴本くんを羽交い締めにして押さえようとする和也。
「やかましい!手を出すなと言ったはずだ!」
身体的なダメージはなくても驚いた智は、ヨロヨロと立ち上がりながら「鶴本くん、僕は逃げないから取っ組み合いなら運動場で・・・」
その時。
「何してるのだ、キミ達はー!やめなさい!やめなさい!やめなさァーいッ!」
学年主任の草鍋先生が、青白い顔を更に青くして教室に入ってきて、智と鶴本くんを制止した。

成子の部屋。
「・・・はぁ」
成子は逆さまになりながらポツリと溜め息をついていた。
「?」
携帯の着信音。専用のトレーニング器具に足でぶら下がったまま、振り子のように体に弾みをつけて手を伸ばし、携帯を取ってメールを見る。潤子からだ。
『今日、智くんとB組の鶴本くんが校長室に呼ばれました。男子2人がエライ事になってるよ。成子、いつまでもスネてないの』
ズルッ、ドタッ!成子は、そのままカーペットの上に落っこちた。すると、コンコンと窓を叩く音。ガバッと顔を上げると、ガラス越しに成子に手を振る、何ともラブリーな顔が。
「ひッ!★」
成子はパニクりながら速攻で窓を開けた。
「大野くん!」
「加藤さん、こんな所からゴメンね」
「お父さんに見つかったら殺されるわよ」
「うん。でも、やっぱり会いたくて」
「・・・大野くん」
「加藤さん、僕は変態でもいいけど、和也くんは違うよ?」
「・・・分かってる」
「加藤さん?」
「入って」
「あ、お邪魔しまーす」
2階のベランダにぶら下がっていた智。手にスニーカーを持って、ヒョイとジャンプして部屋の中に着地した。
「鶴本くんの事、潤子が教えてくれたわ」
「加藤さんが好きなんだね、鶴本くん」
「彼は良い友達よ。二宮くんだって・・・私、悔しかったの、二宮くんの事。あなたにあんなにも思われて。だから、あんな事言ってしまったの」
すると智は微笑んで「加藤さんは加藤さんだよ」
「大野くん・・・」
「汗ビッショリだね。運動してたの?」
「もうすぐ空手の全国大会だから気を抜けなくて」
「大変だね。でも着替えないとカゼひくよ?」
「着替えじゃなくて脱ぐだけにするわ」
「え・・・そんな」
智と成子は見つめあった。その時!
「成子、何の音だ?」と、いきなりドアが開き、お父さんが登場した。
「何?ノックくらいしてよ」
一人で腕立て伏せに没頭しながら、成子はキッとお父さんを睨んだ。
「・・・うーむ、変だな」
「変なのはお父さんよ。集中したいんだから出てってよ」
「悪かった」
バタン。お父さんは出ていった。
「・・・大野くん、もういいわよ」
鍵をかけて、成子は頭上を見上げた。
部屋の天井の角の部分に張り付いていた智はヒラリと飛び下りて「あービックリした★」
「そうね。人間の男の子だったら今頃ここは戦場になってたわ」
そう言って成子も胸をなで下ろした。

「それで帰ってきたの?部屋で二人きりになったのに何もしないなんてバカだなー」
洗面所で歯磨きをしながら、和也は言った。
その横でシャワーから出た智がパジャマのTシャツに着替えようとしながら「やっぱり男から働きかけるモノなの?加藤さんの様子がおかしかったのはそのせいか」
「ノンキに考え込むなよ。ホントにキスマークが付いてないか調べてやるッ」
ちょうどパンツ1枚だった智の体をコチョコチョする。
「あーん和也くん!そこはダメー」
「愛の戯れを邪魔して悪いが、ちょっといいか?」と、脱衣所のドアから2人をシレ〜ッと見ているマーチンが言った。
「智、ちょっと来てくれ」
「え、何?」

マーチンは書斎のコンピュータースクリーンの前に座ると「こいつに見覚えはあるか?」と、智に言った。
智はマーチンの傍らに立って画面を覗き込んだ。
「覚えはないけど・・」
南国産のようなギラついた目の謎の男。
「いや・・・どっかで」
智が呟くとマーチンは頷いた。
「Drミート。ビーフの弟だ」
「はッ?!」
智はつぶらな瞳をカッ開いて驚いた。
「サイバー軍団を率いて兄の復讐を企んでるぞ」
「マーチン、知ってて隠してたの?」
「誤解するな。ビーフの手下だったベンを憶えてるか?」
「うん」
「科学刑務所で弟の存在を自供したんだ。話によると兄より執念深いらしいから気をつけろ」
「また新たなバイオニックを?」
「いや、それはない。なぜなら自分達にとってバイオニックは危険だという事に彼らは気付いたからだ」
「え?」
「バイオニックは世界を征する力を持ってる。だからビーフは俺のようなバイオニックを造り上げたんだ」
けれど“最高は時に最悪になりうる”・・・。
「彼らにとっての最悪は平和だ。そして俺が寝返った」
「そっか。欲しいのは絶対に裏切らない兵器なんだね」
「その通り。奴らに必要なのは心を持たない完全無欠なマシーンだ。心がなければ揺らぐ事も変わる事もないからな」
「良かったね。僕もマーチンも完全無欠じゃなくて」
「智・・」
「あれ、怒らないの?ナルシストのマーチンとしては今のはムカつくかと思ったけど」と、ペロッと舌を出す智に、マーチンは呆れて言った。
「何をノンキな。リスクが大きいのは俺より、おまえの方だぞ?おまえは守るものが多すぎる」
「え?」
「以上だ」
クルリと背を向けて、自室へ戻っていくマーチン。
「む〜・・そっか」
「智、ムズカシー話?」
マーチンと入れ代わりに、ヒョコと和也が顔を出す。
「あ、うん。全然面白くない話」と、智は笑った。
「智に電話だよ」
「どなた?」
「それが・・成子のお父さん」
「?!」
智は急いで家の電話を取った。受話器の反対側に和也もピッタリと耳をくっつける。
「はい、代わりました・・行方不明って?成子さんがですか?!」
智は服に着替えて成子を捜すために家を飛び出した。

「?」
暴風雨かと思って、成子は目を覚ました。強い風。
「あら、フジテレビの近くだわ」
向かいに球型のオブジェが見えた。
「ベッドに入ったはずなのに」
起き上がって下を覗くと目のくらむような高さ。何とブリッジの天辺の狭い足場にいる。ビュンビュンと吹く風は暴風雨でも何でもなかった。
「?!」
気配を感じて、成子は後ろに振り向いた。見覚えのない謎の男が立っていて成子を見下ろしていた。この男の仕業なのは一目瞭然だったので成子は睨み付けて言った。
「誰だか知らないけど痴漢する気なら相手を間違えてるわよ、おじさん」
すると相手は答えた。
「子供に興味はないわい」
睨み返すでもなく不敵に微笑むでもなく、黒眼鏡の奥まで謎めいていた。
「なら新手の道場破り?私と勝負したいのかしら?」
すると「早速卑怯な事を。おまえ、後悔するぞ」と、智の声がした。
「大野くん?」スタッと着地して智が現れた。
「加藤さん、ゴメンね。僕のせいだよ。僕をおびき出すためにキミをこんな場所に誘拐して・・」
智は謎の男を睨み付けた。
「Drミート!諦めろ!」
「兄の怨みを晴らしてくれるわ」
「卑怯な所はビーフにそっくりだね。世界征服して王様にでもなるつもり?」
「その通り。人間が機械を使うのではなく機械が人間を使う世界を作るのだ」
「あなたも人間じゃないか」
「違うね。私は神だ」
「・・・ふざけるな」
本気で怒った智の瞳が赤く光った。
「今すぐトッ捕まえて科学警察に突き出してやる!」
「おっとそうはいかない」
ドビュ−−−ン!
「!?」
遥か彼方から猛スピードで飛んできた空中ジェットバイクに飛び乗ると、ミートは真正面から智に突進してきた。智にアタックして跳ね飛ばし、そのまま成子を霞めた。
「!」
強烈な風圧でバランスを崩して足を滑らせた成子。
「大野く−−−ん!」
落ちる成子。
「加藤さん!!!」
自分も跳ね飛ばされながら叫んだ智は、ぶつかった柱をそのまま蹴って反動をつけ、落ちていく成子に向かってジャンプした。
「!」
間一髪、智は成子を空中でキャッチした。片腕で成子を抱き締め、もう片方でブリッジのワイヤーロープを掴んだ。宙吊りになる智達の脇を、ジェットバイクに乗ったミートがあざ笑うように過ぎ去った。
「愚かなバイオニックよ、今夜はほんの挨拶代わりだ。さらばじゃ!」
遠のく後ろ姿。智はキッと睨んで、満身の怒りを込めて「あっっっかんべーだッ!」
「大野くん」
成子にギュッと首に抱きつかれて、智は我に返った。
「加藤さん、しっかり掴まってて」
宙吊りから弾みをつけて智はハイジャンプした。成子を抱いてブリッジから高層ビルへ、ピョンピョン移動していく。
「大野くん、どこ行くの?」
「僕が和也くんと“初めまして”した場所」
「あなたと二宮くんが?」
「うん」
やがて、シュタッ!と、ある場所に降り立った。
「ここだよ。僕には特別な場所なんだ」
東京タワーの天辺の足場である。
「うわー、綺麗ね。展望台とは違うわ」
広がる夜景をボンヤリ見つめる成子をしっかり抱き締めて「そうでしょ?和也くんといた時は夕陽が見えた。怖くない?」
「平気よ」
「和也くん以外の人とここで景色を見るとは思わなかった」
「え?」
成子が智に振り返って見つめると、智は少し戸惑うような微笑みをした。これは智の照れ笑いなのか。
「・・大野くん?」
「僕ね、加藤さんが好きだよ。人間の女の子の中で1番好き。潤子ちゃんや他の女子への好きとは違う気持ちで好き。でもね、僕の使命は和也くんなんだ」
しっかりとした、でも優しい声で智は、成子に言った。
「ええ、分かってるわ」
成子は頷いた。
「私、もう自分と二宮くんを比べないわ。それでも私は、あなたが好きよ、大野くん」
「加藤さん・・」
「だから、あなたも自分を比べないで。人間の男の子と」
「分かった」
頷いた智の瞳が、キラキラと光った。

「お父さん、ただいま」
どうする事もできずに門の前で歩き回っていた父は、成子に振り向いた。
「成子!」
「お父さん、私が大野くんの家にいると思って電話したの?」
「・・・」
「でも、そのおかげで大野くんが私を悪者から助けてくれたわ。彼は命の恩人よ」
微笑む成子に、父は溜め息をついた。
「全く信じられん・・・あんな子供みたいな顔をして、どこにそんな力があるのか」
「うちの道場に欲しい?でも彼には大事な使命があるからムリよ」と、悪戯っぽく笑う。
「もういいから家に入りなさい。母さんも心配してる」
「彼の事、少しずつでいいから分かってね、お父さん」
「努力してみる」
成子の肩を抱いて、家に入ろうとした。
と、その時・・・「加藤さぁーん!」
バビュ−−−ン!マッハで成子の元に走ってくる智。
「大野くん?!家に帰ったんじゃ・・・」
「おやすみのチュー忘れた」と、おでこ全開の無邪気な笑顔で言うと、そのまま成子の唇にキスをした。
成子はお父さんに肩を抱かれたままで、お父さんはというと、西川きよしもビックリの見開き目玉状態で硬直し、キスをする2人を絶好の至近距離(?)から見下ろしていた。
「おやすみ。また明日、学校でね。あ、お父さんもおやすみなさいです♪」と、再び、バビュ−−−ン!
もちろん成子は嬉しかったのだが、ハッと我に返って「お父さん?」
「・・・・・・」
智が去った後も地蔵になったままの父を、成子は根性で担いで家の中に戻った。

雅紀の研究室。専用モニターにDrミートのデータが映し出されていた。雅紀の両脇に智とマーチン、3人は静かに画面を見据えている。
「絶対に許さない・・・」
智がポツリと呟いた。
「こいつの野望達成には、何が何でも俺達が邪魔だという事がハッキリしたな」と、マーチン。
「どんな手を使ってくるのか予測不可能だ。2人とも気を付けるんだぞ」
雅紀も今までにないような厳しい眼差しで、画面に映る悪の根源を睨みながら言った。

「和也くん…キミは強い子だよ。でもね、奴らの卑劣さの前では、強さも弱さも関係ないんだ。…キミを傷付けさせないよ」
そっと和也の寝顔に呟いた後、智は自分の部屋に戻り、いつもと同じように明日の時間割りの準備をした。何が襲ってこようとも、やがてやってくる平和な朝を待ち侘びながら。

―END―



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